全員営業のポイント 112話 『全員営業』が意味する新規営業先
「新規のお客様がなかなか増えない」というのは、
コンサルティングでよく受けるご相談です。
ある意味しかたがないことです。
なぜなら、新規先の獲得は、経営において最も
難しい3つの仕事のうちの一つだからです。
ゆえに、数の多少は別にして、新規のお客様を
自力で増やせる企業は、それだけで、経営者は
市場が激変しない限り、向こう数年は安泰と
いうくらいの安心感を持ちます。
特に、運良く市場の発展期に、その事業を開始
した企業の何社かは追い風もあり、次々に新規
先を獲得し、数年で売上・規模ともに数倍と
いうことが普通におきます。
しかし、成熟期に差し掛かり、顕在している
ニーズが一巡すると、従来以上の営業の動き
をしても新規先は増えなくなります。
ここで企業の動きは、大きく2つにわかれます。
ある程度の売上・規模に発展したことにより、
そこに安住し、取引先からの依頼をこなすのが
営業の仕事になる企業と、年1~2回は取引先
に新たな提案をもっていくのが営業の仕事で
あることを続ける企業にです。
売上の上がる度合いや、見積りの成功率でいえば、
取引先からの依頼をこなすだけの営業組織の方が、
動きの効率性の観点から高くなるかもしれません。
特に、セールスプロセスの数値管理だけに頼った
営業組織の運営をやっていると、一見、その打率の
高さや、効率性の良さに惑わされるかもしれません。
発展期では、新規先という言葉どおりに、自社や
類似商品そのものを、まだ扱っていない先に
営業する場合が多分に混じっています。
すでに取引先を持っている相手であっても、その
関係性は浅く、第2取引先として入り込むことが
継続するかどうかは別にして容易です。
しかし、成熟期~衰退期になると、優良な見込先
になればなるほど、複数の競合取引先をかかえ、
その上位になると10年以上、取引関係を続けて
いるのが当たり前になります。
そうなると、新規営業の基本を実施していても
新規先を増やすのが難しくなる場合がでてきます。
ニーズがあるから取引を開始するという要素に、
加えて、いま取引している自社の競合企業との比較
において、変更や追加するだけの明らかな優位性を
持つことが必要になるからです。
そうした時に、年1~2回は取引先に新たな提案を
もっていくのが営業の仕事であることを続けていた
企業であれば、どんな企業がどんな動きをしてきて
いるかの把握そのものを、早期に入手できるとともに
従来とは別の業種・市場に、営業として打って出る際
にも、日々の活動の蓄積がいかせます。
一見非効率で負担がかかる営業をやっているよう
でも、市場の変化に沿った形で、営業力を継続させて
いくことができているからです。
既存の取引先からいわれたことをこなすだけの
営業は、言わば機械部品です。ゆえに、新しく
良い部品がでてくれば、そちらに取り替えられます。
しかし、新しい提案や本業に役立つ利益をもたらして
くれる営業は、言わば動力部品です。それをかえよう
とすると構造から変える必要があります。
既存の取引先にとって、自社がどちらかがいいかは
当たり前の話ですが、新規営業をしかける先に既に
入り込んでいる競合相手がいずれかによって、提案
の内容や、新たな視点を付け加えないと太刀打ち
できない場合があるのは、そのためです。
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