全員営業のポイント 133話
経営計画と目標を考える物差し
「辻先生、うちの営業は、お客様の方針と状況次第で
売上が変わるから目標や計画が立てられないんですよ」
目標や計画の必要性はわかるが、理由があって作成
が難しいという会社で、よく出てくる話です。
一見理屈があっているようで、前提そのものが間違って
いる典型が、この話です。
不思議なことに、経営計画や売上目標を毎年作成
している会社は、同じ理由により、計画や目標が必要
と考えています。
同じ理由であるのに、経営の動きは真逆になって
しまっているのです。
必要と考える会社は、将来の売上が不確実だから
こそ、少しでも確実なものにする道しるべとして、また
会社の力を結集する旗印として、計画と目標を作成します。
長期を念頭におきつつ、短期では、調整や修正を
行いながら、経営者が求める会社経営を目指します。
仮に、計画や目標に届かなかったり、あてが外れた
としても、それが在るからこそ、修正箇所の分析や、
来期の振返りの精度が高まると考えます。
一方、自社で決めれないのだから、不要とまでは
言わないが、作成しても意味がないと考える会社は、
寄って立つ意思決定の柱がないので、ただ、お客様
の動きに反応する結果オーライの会社経営となります。
ゆえに、長年、お客様からの要求に精一杯応えて、
顧客満足が高くなっていても、いわば刺激に反応して
いるだけなので、現場ノウハウを上げることはできても、
新規獲得の営業ノウハウが増える訳ではありません。
市場が大きくうねる時には、既存の関係性だけに甘えず、
自ら新しい売上を生み出せるかが会社の生命線となります。
もちろん、根拠なしに、前年度10%アップという計画や
や目標を付け焼刃で作っても、価値はありません。
経営に役立つためには、営業会議で使う業績確認ツール
としてではなく、経営判断に活用する意思決定ツールとして
扱い、そのレベルに高める必要があるからです。
経営計画や目標設定の真の価値は、単に業績が上がる
かどうかの奥に、これからもお客様に生殺与奪を握られる
会社でいいのか、あるいは自らの意思で売上を創れる会社
になりたいのかというテーマが横たわっているのです。
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