今週の全員営業(R)のポイント 第12話: 経営と営業マンの関連性ついて!
15年以上、中小オーナー企業のコンサルティングに
携った結果、いくつかの共通課題が見えてきました。
本日は、そのうちの一つ『経営と営業マンの関連性』に
ついてお話します。
大企業に比べ自己資本や資金調達の環境が厳しいため
経営者は、業績が悪化すれば、背に腹は変えられずに
心を鬼にして、リストラを行う場合もあることでしょう。
しかし、本日お話したいのは、全く逆の場合です。
実は、それこそが、リストラを発生させる大きな原因に
なっていると考えています。
その原因とは、90%以上の中小オーナー企業は、
『業績がちょっと良くなると、簡単に人を増やす』ことにあります。
大卒の新入社員と中途採用の30才前後までは、採用競争力を
考慮すれば、初任給が20万円前後になるはずです。
(※業界および企業規模によっては、18万円~)
さらに、採用経費や保険料などの諸経費を合計すれば、一人当り
年間300万円以上が必要になってきます。
粗利益10%の経営状況であれば、最低でも、これから数年は、
売上が3千万円伸びた状態が続く見込みがないと採算割れです。
もちろん、会社を強くしていこうとすれば、採用は必要です。
ここで私が言いたいのは、将来の事業計画&一定期間の運転資金
の目処が未定の状態で、ちょっと現場が忙しい程度で、安易に
人員を増やさないことが重要だということです。
追い風のときは、誰が経営してもそれなりに上手くいくものです。
過去、私がコンサルティングを実施した中では、6年連続で
増収増益が最長でした。ほとんどの場合は、半年~1年以内に
業績が20~30%UPしますが、永遠に伸びるわけではなく
3期目~4期目でいったん、業績上昇の踊り場ができてきます。
その時に、成長に合わせてギリギリの経営でいってしまうと、
冒頭に書いたように、市場や景気の動向により、雇用に手を
つけざるを得なくなります。
またお金の問題だけでなく、採用した人が戦力化するには、
一定期間の時間が必要です。
仕事の内容によっても違いは出ますが、通常であれば未経験から
なら、営業・サービス業で約1~2年、専門職系で2~4年は
必要になるでしょう。
その間、中小企業の場合は、プレイングマネジャーが、部門運営と、
自分の数字と、採用者の育成を同時並行で行うことになります。
そのため、新人が1~2人増えるだけでも、相当な時間と労力を
とられ、大なり小なり本業に影響が出てきます。
『去年は営業10人で売上10億円が、いま13億になっているから
3人増やすか』という甘い想定の場合、新人が入社することにより、
営業13人で、売上9億円に落ちるリスクすらあることを、経営者は
頭の片隅に留める必要があるということです。
もし、そのリスクを回避したいのであれば、育成を現場に丸投げや、
人が人を育てることに100%依存するような体制でなく、組織と
環境で人が育っていく仕組みを整えてから、採用することが重要です。
それにより、プレイングマネジャーは、部門運営と自分の数字を
達成しながら、採用者の育成をこなすだけの、時間と労力を
生み出せるようになるのです。
そして、やり方次第では、営業・サービス業であれば、新人でも、
最短3ヶ月で、自分の給料を稼げる戦力化が可能になることで、
急な市場や景気の変化への対応力が会社に備わることにつながるのです。