今週の全員営業(R)のポイント 第15話: 会社の将来を左右する2種類の社員
現在の日本は間違いなく、転換期あるいは混迷期にあると
いえます。そのような時は、流行り廃りでなく原理原則に
従った経営と営業組織の強化が必要です。
本日は、そのヒントをお話します。
すべての経営者が、有能な社員ばかり集まる会社にしたいと
願っています。お気持ちは十分わかりますが、一つ意識して
ほしいことがあります。
それは、『有能』という言葉です。
この言葉は、あまりに一般的に使われているために、見聞き
すると意味がわかったつもりになりますが、経営者によって
意味が違うばかりか、同じ経営者であってすら、時と場合に
よっても違う意味で使われることがあります。
そして、300人までのオーナー企業においては、経営者が、
会社あるいは自分にとって、どんな素養をもつ社員が有能で、
必要かを把握できていない場合がほとんどです。
そのため、極論を言えば、自分のいう通りに動いてくれる
社員だけが有能ということに落ち着く傾向があります。
下手をすると会社はイエスマンばかりになりかねません。
能力という視点から見れば、社員は、3種類存在します。
『 無能、有能、異能 』です。
無能といっても、本当に無能であれば、読み書きや会話すら
できませんので、適性が低いか、有能に達していないと考えて
いただくとよいでしょう。
採用試験と面接をクリアした段階で、一定以上の学習能力と
知能は備えているといえます。もし全ての社員が、経営者から
見て無能に見えるなら、社員ではなく、採用のやり方や、そんな
社員しか採用できない会社そのものを顧みることこそが必要です。
また、有能な人は、会社にとって大切ですし、利益の源泉ですが、
それはあくまで、仕事が現在の延長線上にある場合です。
そのため、現在~近未来では役立ちますが、立場や仕事内容が
変わると、有能さが続くかどうかには疑問がでてきます。
特に、チームで営業や仕事をする会社では、組合せ次第で
発揮する有能さや仕事の成果が変わる場合があります。
100人規模までは、経営者は、どの仕事にどんな能力が必要とされ、
社員が個人レベルでどんな能力特性があるかを、把握することが重要
です。少なくともキーとなる人物については必須です。
さて、異能についてです。変わっている・特殊という感覚で
とらえていただく方が理解しやすいかもしれません。
中小企業では、異能の人をどう扱うかで、会社の未来や
経営の質が大きく変わります。特に、現在の日本のように、
従来のシステムや慣習の転換期にある場合は、なおさらです。
ただ、この類の人は、言動や人付き合いに癖があることが多いため
組織の中で異端とされたり、排除されがちです。もちろん、
いくら仕事ができても、他者に迷惑をかけたり、誰もができる
レベルの作業ができないならば論外です。
しかし、多少モノの見方や仕事の感覚がずれていても、あるいは
そうであるからこそ、既存の仕事のやり方の問題や、有能な人が
自然にできるため見出だせないポイントや、誰も気付いていない
未来の利益を産む発想ができる、とさえ言えるのです。
中小オーナー企業は、大企業のように人数が多くないため、
今いる人がダメなら次の人という手法がとれません。また、
同業他社と比較して無いものねだりをしても意味がありません。
現在いる社員を今一度観察し、社内にいる3種類の人材を見分け、
どう活用し、誰と組合せるかも含め、フル活用することこそが
営業組織強化における要諦であり、全員営業(R)の本質の一つ
ともいえるのです。