全員営業のポイント 第192話 新しい営業施策を打つタイミング
『辻先生、今までと同じ営業では今後厳しいので、新しい営業のやり方に変えたいのですが注意する点はありますか?』ー創業30年以上の会社を経営している社長からのご質問です。
方法論や成功事例だけでなく、どういう手順で現場に浸透させるかまで配慮されているのは流石と感じました。
営業現場の上位には営業戦略があり、そのまた上位には経営戦略があります。
そのため、営業のやり方を変える時には、営業現場のことばかり考えていても上手くいきません。
例えば、整理整頓が業績アップに効果的という成功事例を聞き、それを取り入れ、営業マンの机の上と周りを毎日片付けるだけでは一向に業績が上がらないのに似ています。
書類備品やゴミだけでなく、全体配置や現場の導線や顧客管理に至るまで整理整頓してこそ業績へとつながるのです。
また、営業の施策が上手くいくかどうかは、目に見えない経営上のタイミングも重要になってきます。
特に中小企業の場合、同業者が上手くいったやり方を真似るにしても、経営資源が限られているため、新しい施策を行うには営業戦略の点検や経営体制の調整等も必要だからです。
もし、繁忙期になると現場が四苦八苦するような状況で、そのまま新しい施策を追加しようとすると必ず反発や反動が出ます。表立って会議で反対意見として出ることもあれば、消極的に普段の行動が今までと何も変わらないという形で出ることもあります。
いずれにせよ、営業の施策さえ変えれば、現場も業績も途端に変化するとは限らないのです。
しかし、私は次のように考えています。
『経営者が、社内の反発があるからと新しい施策をやらずに、現状維持の経営をしたところで、未来のリスクが減ることは決してない!』
現状維持で様子見している間にも売上が下がり、正念場になれば、どの経営者も本気になって新しい営業の施策に取り掛かろうとします。
しかし、その時には会社に余力がなくなってしまい打つ手が限定されたり、本当にニッチもさっちもいかなくなると金策に駆け回るようになり営業強化どころではなくなります。
長儲けする経営者は、それがわかっているだけに、社員の反発や周囲の評判などに関係なく、【発生する様々なリスク】に対応できるよう会社の好調時ほど新しい手を打ち出します。
ニトリやユニクロやソフトバンクが良い例です。過去を振返ってみると好調時ほど、まったく新しい営業戦略や世間をあっと言わせる施策を行っています。
もちろん、そのすべてが上手くいったわけではありません。しかし、余力があるため、その後も修正が効いたり、撤退しても傷が浅くすんでいるのです。
さて御社は、余力があるうちに新しい施策を始めますか?。それとも、正念場になってから重い腰を上げますか?
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