全員営業のポイント 第205話 『社長が新たな学びを、売上につなげるコツ』
「この1年考えた施策をやり続けた結果、去年に、
辻先生が言われていた〇〇の重要さを実感しました」
昨年指導した社員数十名規模の社長からの言葉です。
世間には、勉強熱心な社長もたくさんいらっしゃいます。
例えば、毎週のように経営者同士の交流会に顔を出したり、
毎月のようにセミナーや講演に参加したり、あるいは
ビジネス書を1年に数十冊以上も読破される方、等々…
しかし、そういう社長のいる会社が業績好調かというと
必ずしもそうとは限りません。
では、勉強や新しい情報を得る必要は無いのかというと、
儲かっている社長の大半が、常に業界動向をチェックし、
折に触れて新しい儲けのネタを得ようとしています。
では、なぜ、こういう大きな違いが出るのか?
会社の知名度や経営資源や社長のカリスマ性という、
最初から固有差があるものを除けば、新たな学びを
どう活用しているかにつきます。
この典型的な例として、とある社長の話をしたいと思います。
先方の会社に訪問し、一通り会社の状況をお聞きし、
経営相談に移ったところで、社長宛に電話が入り中断、
社長もタバコの一服をかねて席を外しました。
秘書的な立場の方と、私だけが社長室に残り、
「御社の社長は、学習熱心ですね。社長室の本棚は
ビジネス書で一杯だし、講演セミナーにも毎月の
ように出かけているようですし…」と話したところ…
『そうなんです。勉強熱心なのは確かにいいんですけど、
ただ勉強しすぎで、朝礼のたびに言うことが毎週のよう
に変わるときがあるんですよ(笑)』
秘書の方は、社長への親しみもあり、この話をされた
のかもしれませんが、会社の営業現場と売上数字が
変わらない大きな理由がこの話には含まれていました。
そもそも社長は、会社全体に関わっているため、
マルチタスク(≒複数同時進行)に慣れています。
しかし、現場の社員は、仮にベテランであっても、
職務が定まっているため、シングルタスク(≒特定業務)
で、一つのことを実践するのに慣れる傾向があります。
ただでさえ、現場に近い程、新しいことの理解や、
実践~定着が難しいのに、更に、又聞きや一読程度の
情報を整理していない状態で伝えようとする訳ですから、
唐突感だけが伝わる場合さえあります。
半期ごと・毎月のように、新しい目標や施策を立てても、
結局、どれも思うほど成果に至らないのは、そのためです。
一つの目標や施策が形になり、成果につながるには、
専任者でもいない限り、半年~1年程度はかかるものです。
とはいえ、売上・業績をアップしたい時に、会社全体で
一つのことだけに集中していても、丁半博打と同じです。
ゆえに、業績好調で儲かっている社長も、これという
見込が立つものが見つかるまでは、あれこれ実施します。
では、なぜ結果に違いがでるか?
現場に丸投げで任せるか、それとも、しっかりとした
役割分担があるかが最大の要因です。
私が提唱する全員営業は、現有戦力をすべて営業戦力化
しますが、全員が同じことをする訳ではありません。
部門や個人単位で、しっかりと役割分担して、最初から
『継続』できる体制と仕組みを整えて、現有戦力のままで、
多方面作戦をするのが、その神髄の一つです。
あれこれと手を出しているようで、個々を見れば、
シングルタスクの集まりなので、確実に現場が変わり、
新しい施策も『継続』することが可能になるのです。
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