◆全員営業のポイント 第213話 『会社経営と政治の関係性』

今週末の日曜日が衆議院選挙のため、都内のあちこちで選挙カーが走り、駅前など人が集まる場所で演説が行われています。

かつてコンサルティング会社在籍時に、忙しくて今回の選挙にいけなかったと話したところ、当時のマネジャーから次の指摘を受けました。

「辻さん、それは権利放棄です。権利を放棄した以上、あなたは次の選挙まで日本の政治の良し悪しや、景気対策について批評する権利がなくなります(笑)」

えらいおおげさなとも思いましたが、心に刻まれたのは、その次の言葉です。

「政治は、経済や法令の動向を左右するので、それを無視する経営者は間違っている」

 

確かに、業種によっては、政治が会社経営に直接関係するものも存在しています。例えば、建設業・輸出・金融・士業など…

しかし、大半の中小企業の経営者にすれば、政治の動向を注視したり、それに向けて手を打つことは必要かもしれませんが、業界慣習と同様に1社だけではどうこうしようないのも事実です。

 

また、不用意にかかわりすぎると鬼門ともなりかねません。例えば、ライブドアやワタミなどが思いあたるのではないでしょうか?

なぜ、この2つの経営者には、あれほど世間の風当たりが強かったかの?。経営者の個性が強かったとか、上場企業だったからという理由だけで片づけられるものではないでしょう。

それは、経営と政治とでは、その本質に根本的な違いがあるからです。

 

経営は、利害関係ですが関わる人すべてが得する可能性があります。
仮に競合会社であっても、切磋琢磨により市場全体が伸びれば、両社ともにメリットを享受できます。

政治は、主義主張なので、どういう結果になっても、不平不満や損する人が生まれます。必ず、敵ができますし、恨みや嫉妬をかう場合すらありえます。

老舗の家訓に、「政治にはかかわるな」というのが散見されるのは、家業(≒会社経営)への注力が削がれるのもさることながら、余計な敵を作らないようにという深い意味が含まれていると考えています。

 

また、最近のメディアや世論で大きく誤解されていると感じるのが、景気回復についてです。政治において景気対策は確かに重要事項ですが、あくまでその一面でしかありません。

時の政府は、決して景気回復のためだけに存在している訳ではないのです。会社経営の追い風が吹くような政策を期待しすぎると、常に失望するのは、そのためです。

ゆえに、会社経営にとって、政治とは、直接の損得を生じさせるものというよりも、その動きによって生じる変化を、どう活用するかこそが重要なのです。

結局、いくつくところは近江商人の教えに語られています。
『 商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ 』

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