全員営業のポイント! 第33話 『営業の施策で悩んだ時の秘訣』
しっかりと経営戦略や営業の原理原則を身につけた
経営者であれば、営業の打つべき手が自然と見えて
きますが、それでも、新しい施策に手をつける時には、
やるかやらないかで迷うことが出てくるものです。
そんな時に、良い特効薬があります・・・。
それは、試しに素早く小さな範囲でやってみることです。
当り前じゃないかと思われるかもしれませんが
意思決定の際、上手くいくことにこだわりすぎると、
動きが鈍くなってしまいます。
そうなると、たいした理由もなく、もう少し様子を
見ようという結論になったりしかねません。
過去、役員会議に参加するレベルで約100社。実務面の
マネジャーとのプロジェクトや研修等のレベルでいえば、
約500社近くを直接見聞きしてきましたが、短期間で業績
が上がる会社には、ある共通点がありました。
それは、経営者の意思決定と、営業現場で試すスピードが
圧倒的に素早いということです。
極論で言えば、新しい施策の成功確率は、業績があがって
いる会社と、業績が不振な会社との間に、大きな違いは
ないかもしれません。
しかし、行動量とスピード感がまったく違うために、前者が
1年のうちに10~20~30と新しいことを行うのに対し、
後者は1年のうち1~2やるのが精一杯だったりします。
そのため、成功確率はそれほど違わなくとも、営業の新しい
施策で、これなら上手くいくという勝ちパターンを見出せる
確率が圧倒的に違ってくるのです。
しかし、一つの勝ちパターンを見つけて確立することが、
プロ野球チームの優勝に大きく影響することがあるように、
会社全体の営業数字も随分違ってきます。
そして、一つの勝ちパターンの裏に、数多くの失敗や検証が
あるため、営業組織と営業スタッフには、様々な経験や現場
の応用力が、副次的に身に付くことすらあります。
何かある度に、単にうまくいく答えだけ探そうとする企業や、
他社のやっていることを真似るだけの企業では、決して得られ
ない貴重な知見です。
今年、他界された、プロ野球で9年連続日本一という永遠の
金字塔を打ち立てた川上哲治監督は、次の言葉を残されて
います・・・『一打一生 これほどの努力を人は運という』と。
傍目には次々と新しい手法を見つけているような会社も
内実は、その数倍~数十倍の新しいことを試しているだけ
だったりします。
しかし、そうはいっても、上手くいくかどうかが、わからない
段階で、会社の経営資源や営業全体を向ける訳にはいき
ません。また、既存のお客様との関係性や営業スタッフの
感情などを考慮する必要も出てくることでしょう。
そのため、支障がない小さな範囲で素早く試して、これは
上手くいきそうだと当たりをつけてから全体に広げる手順は
新しい営業の施策を取り入れる際に、最も効果的かつ
現場にも受け入れられやすい手法といえるのです。