◆全員営業のポイント 第234話『中小企業の働き方改革』
誤解を恐れずいえば、「働き方改革」と政府が声高に叫んでも、大半の中小企業にしてみれば、ちょっと難しいし、わが社には関係ないというのが本音かもしれません。
そうなるのは、経営者の深いところで、先々の業績や業界動向が不透明な中で、固定費が上がるだけの待遇改善や時短・休日の増加には応じられないというのが一番の理由ではないでしょうか?
一方、いままで私が出会った経営者は、同じ入社してくるなら優秀な社員が欲しいと思っていますし、がんばって業績をあげている既存の社員には、出来る範囲でもう少し良い待遇を与えたいとも思っています。
とはいえ、無い袖は振れない中小企業の状況から、そういう処遇や待遇は難しいため、ジレンマを抱えているのもまた現実です。
ここで一つ質問があります。
もし、御社が、20代の若手・30代の即戦力に入社してほしいと思っているのであれば、過去どれだけ、そういう会社にしようと本気で取り組んできたでしょうか?
1.中高年になっても、月給がほとんど上がらない…
2.将来が期待できる目標計画はないが、ノルマだけは存在…
3.有給休暇はあれど盆暮れと、冠婚葬祭以外ではとれない…
4.仕事は自分で覚えるものといって、誰も教えてはくれない…
客観的に御社の状況が、上記1~4の様であれば、今後は優秀な若手社員の採用どころか、一時的な欠員の補充さえ出来なくなる可能性が生じてくるかもしれません。
人口減少により、今後更に人手不足が進行する未来が確実だからです。
その兆しとして、昨今、中小零細の派遣会社の倒産や業績悪化が増えています。競合との営業時のバッティングに加え、仕事はあれども派遣する人の補充ができなくなりつつあるからです。
世の中のルールが人口増加から人口減少に転じたのであれば、経営の発想も変えていく必要があるというのが私のお伝えしたいことです。
その一つが、これから新しく入社する社員の前に、今いる社員をどうつなぎとめるか、そして、現有戦力の生産性を最大限に発揮するには、どうするかを、もっと真剣に考えた方が良い! です。
今いる社員が65才まで力量を発揮し、会社に収益をもたらす働き方や40代後半から体力が落ちて若い時のような動きが段々と難しくなるならば、それに即した生産性の上げ方や健康にも配慮した組織運営…等々
生産性の向上は、会社が常時取り組む命題ですし、今いる社員が良い会社だと思えないようであれば、仮に新しく優秀な人を採用できたところで、大半がすぐ辞めてしまうのがオチでしょう。
働き方改革という言葉の持つイメージに惑わされてはいけません。
中小企業にとって、『働き方改革≒生産性改革』と捉えれば、10年後の会社のために、今いる社員のパフォーマンスを高めるために、高業績の社員に長く勤めてもらうために、新しく採用した人が辞めない会社になるために、取り組むべきテーマと言えるのです。
さて、御社にとって働き方改革とは、単に社員の待遇改善という認識でしょうか?。根本的な生産性アップのきっかけでしょうか?
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