◆全員営業のポイント 第235話『バーバリーと三陽商会に視える長儲け®の秘訣』
物流とITの発展により、メーカーが消費者に直売可能となり、昭和の商習慣の主流であった販売代理店や卸問屋という手法は、最近まるで時代遅れかのように言われることがあります。
しかし、選択と集中は、時代を超越する原理原則です。自社の強みを活かして、販売に特化したり、現時点で販路を持つのが難しい製造業が商社や問屋を活用するのは、いまだに立派な経営戦略です。
例えば、3年前にバーバリーとの取引がなくなっただけで、現状は業績不振に陥っている販売代理店の三陽商会や、今年倒産したアクセサリー製造の根岸商会などを、今でこそ、あれこれ言う人はいますが、10数年間やそれ以上の長きに渡り経営が順調な時期があったのは厳然たる事実であり、その点は決して忘れてはいけないと考えています。
(私も社会人になりたての頃、冬のボーナスで奮発してバーバリのトレンチ
コートを購入し、いまだに大事に着ているので復活を心から願っています)
ただ惜しむべきは、三陽商会にしてみれば、1社に依存した経営の期間があまりに長かったことです。また、経営の転換を図るにせよ、頭の片隅のどこかに、何十年も一緒にやってきてお互いにメリットもあるから、色々と言っているが、それでも交渉次第では、今後も続くのでは…と一縷の望みがあったことが推察される点です。
どんなに親密で長年取引していようが、他社には他社の思惑と展望があります。
ゆえに、常識の範囲であれば、手切れするにせよ、1年前に知らせたとすれば及第点でしょうし、2~3年も前から打診したとすれば、第三者からみれば、外資系にしてはバーバリーは随分と親切…という人さえいるだろうと思えます。
話をコラム読者の会社に置き換えれば、もし、御社が売上10億~数十億の規模であれば、仮に売上1000億円の大企業との主力取引を、新規で獲得できれば、年商が一気に50%~2倍アップの可能性すらありえます。
しかし、増収増益に安心して、営業強化の新たな歩みを止めたとすれば、その好業績の裏には、増員する社員の固定費または製造ライン増設の借入といったリスク要因が増えてきます。
何より、そういう形で増収増益した場合、その1社との取引がなくなれば、売上が半減する会社の状況が自然とできあがっていくのです。
天候と同様に、経営には、晴れの日があれば、雨の日もあります。
ゆえに、晴れがある程度続いたら、そういう幸運な時期はいつ過ぎるか判らないと考え、次の雨の日に備えて新しい傘を作る動きをすべきなのです。
いやいや、年商50%以上もアップして増収増益なら忙しくて、営業現場は新しいことをするどころじゃないでしょうと、思われるかもしれません。
実際、そういう会社が新しいことをやろうとすれば、まず間違いなく、現場のどこかからそういう声が上げってきます。
私も、コンサルティング指導した結果、1~2年で年商が倍増した会社の営業会議に参加して、経営者とともに、そういう現場からの矢面に直面したことが何度もありました。
全員営業コンサルティングは、そういう会社や現場に応えるために、現有戦力のままでも、多方面作戦を成功させるための経営ノウハウでもあるのです。
さて、御社は、増収増益になれば安心する会社を目指しますか?。それとも、増収増益をてこに一段階上の会社を目指しますか?
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