今週の全員営業のポイント! 第25話:上司と部下の倍返し!
営業現場での動きは、原則、お客様と1対1の関係
であるため、営業マン個人がどう動けばいいかに
帰結します。
しかし、会社や部門となれば、多対多の関係のため
個人を超え組織として、どういう風土を形成するか
ということも重要になってきます。
単に1~2年稼ぐ一発屋の会社と、5~10年それ以上
の長期に渡って業績を上げる長儲け(R)の会社との
大きな違いの内の一つは、この風土形成です。
※長儲け(R)は、辻経営の登録商標です。
風土を形成するというと漠然としていますが、別の
表現で言えば、「文章や規則になっていないが、
経営者も含めた全社員が、暗黙のうちに従う
行動様式」とも言い換えられます。
このことが、特に営業関連において顕著に現れるのが、
本日のテーマにある上司と部下との関係です。
業績の上がる営業組織は、上司の仕事として部下を
育てることがルール上ではなく風土になっています。
そのため、上司は、自らの時間と労力を投資してまで、
部下を成長させる動きを行います。
しかし、これは投資であるため、上手く育つこともあれば
ダメな場合もあります。途中で退職でもされたら徒労に
終わるかもしれません。
それでも、業績が上がる営業組織で上司となる人は、
部下が育つことを願って、サポートをし続けます。
それは、自分が部下だった時に、上司からそうされた
原体験があるからこそ出来るのです。
…あるいは、自分が部下の育成にかけた労力への見返りを
部下から直接返してくれないかもしれないにも関わらず…
…そういった最悪の場合でも、「自分の部下だった人が
人を指導する立場になった時、同じことを部下にして
返してくれればいい」という気持ちがあるからこそです…
短期的には、自分がかけた時間と労力の半分も、
直接は返ってこないでしょう。まさに部下に対して、
良い意味で「倍返し」しているようなものです。
しかし、そういう風土を形成すれば、中長期的には、
社員が育つ営業組織が出来上がっていきます。
そうなると、組織の力は短期間では上司1+部下1ですが、
中長期で見ると、(上司1+次の上司2)×部下4×3部門
のように人数の乗数倍となっていきます。
つまり、営業組織そのものが時間とともに強く大きく
成長していくのです。そうなると、会社業績は、
「10倍返し」の可能性すら出てくるかもしれません。
一方、業績が低迷する営業組織では、短期的な視点が
顕著です。
そのような営業組織では、上司は部下の成長よりも、
自らの実績が上がることを絶対的に優先させます。
そのため、数字があがる見込がなければ、同行もしませんし、
支援や育成も必要最小限しかしなくなります。一方、成果だけは
しっかり要求し、稀に自分の管理が良かったから等という人もいます。
また部下も、上司が関わるとそれ以上の見返りを要求される
ので、段々と上司にはわからないように、かつ自分ができる
範囲内でのみ、頑張るようになっていきます。
そうなると、会社組織とはいっても、所詮は個の集まりに
陥ります。(上司1+部下1+部下0.8+部下0.7…)となり
人数の足し算以下の力しか出なくなります。
この状況が更に進行すれば、上司や経営者は、文字通り
悪い意味で、会社業績から手痛い「倍返し」をされることに
なるかもしれないのです。
また、自分が若い頃に受けた成長への支援や機会に感謝し、
それを上司に直接返すのがムリなら次の世代へと「倍返し」
で伝承する風土は、単に業績を上げることに留まりません。
経営者および後継者に到るまで、その立場と信望を伝承する
ことへもつながっているとさえ言えるのです。