全員営業のポイント 第61話 『 大きく、細かく 』
伸びている業績を更に伸ばす時と、
落ちている業績を上昇させる時では
もちろん、やり方や手順は違います。
しかし、どちらにも共通することが
あります。それは、考えの指向性です。
会社や営業部門に関わる物事では、
現状分析は必要かもしれませんが、
うまくいってない原因がわかったから
といって、必ずしも正しい方策が浮ぶ
とは限りません。
なぜなら、競合会社が思いもよらない
戦略をとっているかもしれないですし、
そもそも今の経営や営業の問題の根底
にあるのは、考えや取組み方そのもの
にズレがあるためかもしれないからです。
極端ですが、いっそ新しく会社を興す
なら営業をどうするかとか、業界では
タブーかもしれないがとか、今までの
会社ならまずやらないだろうが…
といったくらい非常識な大きな発想で
広く考えることから始めないと、現状
を一気に変革するほどの方策は、到底
浮んでこないものです。
一方で、現場の作業レベルの問題を
解決しようとする際に、今後の業界
の動きとか、顧客満足が重要などと
いった抽象的な話をしても始まりません。
現状の作業や手順を、分単位で分析
するなど小さな単位まで把握し、
微小な問題も含めて取り除くことで
解決へと向かっていくからです。
そんなこと言われなくてもわかってる
と言う方が多いかもしれません。
しかし、往々にしてコンサル現場で、
前者の経営や営業の改革を検討する際、
大きく考えているつもりが、いつの間
にか細かな事にとらわれてしまうこと
があるものです。
例えば、会社の業績を立直すには
思い切ったことをする必要があると
言ってはいても、いざとなると次の
ような言葉がでてくるものです。
「それだと社員の一部がやる気をなくす」
「今いるお客様がどう思うかわからない」
「いまの仕事のやり方では手一杯だ」
「会社の設備や技術では難しい」
『全員営業』の真髄に、今ある商品
と今いる社員をフル活用して業績を
伸ばすというのがあります。
しかし、それは思考・行動が今のまま
で充分だというのとは意味が違います。
まず視点を変えることで、妙案が浮び
それに向けて仕組みを整えることで
全社員の意識と行動を結集するが
ゆえに、会社に眠っている営業力を
掘りおこすことができるようになる
という意味なのです。
最終段階では、改革であっても、実際
に現場で人が介在する範囲については
細かく考える必要がでてきます。
しかし、まず最初の突破口の糸口を
見つける段階から、会社や現場の実情
を考慮しすぎては、競合と差別化できる
かもしれない妙手を、みすみす見逃す
ことにすらつながりかねません。
会社の歴史における分岐点や、事業を
転換する時には、まず最初の段階では
経営者は、思い切って大きく考えること
を意識しすぎるくらいで丁度よいのです。
これは、現場の実態を把握している
オーナー経営者であればあるほど、
注意していただきたいことと言えます。
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