全員営業のポイント 第209話
良い施策だけでは営業が強くならない理由
「辻先生、営業を強くしようと業績が絶好調の同業者を色々と真似ても上手くいかないのですが、なぜでしょうか?」 先般実施したセミナーで、ある経営者から受けた質問です。
私の答えは、次のようなものでした。「見込客から、お宅の会社は他社とどう違うの?って聞かれませんか?。同業者を真似るだけでは、本当に強い会社にはなれませんよ」
会社の営業を強くしたいと考えた時、ほとんどの中小企業が実施するのは…
「営業現場の叱咤激励です。なかには、叱咤だけする会社もあります(笑)」
会社によっては、これだけでも短期的に売上がアップすることもありますが、アクセル全開の状態が1年中続くことはないのと、この手の施策は、将来の売上を早めに刈り取ることにもつながるので、いずれ反動が出てきます。
なにより、創業20年~30年と続いている会社であれば、叱咤激励は既に何度も実施しているので、営業現場からすれば全く新鮮味のない施策です。
次に、同業者でうまくいってるやり方を探すようになります。
『学ぶは、真似るが語源との俗説』もあり、一理あるやり方です。しかし、このやり方にも幾つか問題点があります。
例えば、「真似る以上、その同業者は追い越すことができない二番煎じ」という点です。真似ようと思う時点で、その同業者は御社の相当な先の段階へ進んでいるため、相手が「うさぎとかめ」の「うさぎ」のようにどこかで昼寝でもしてくれない限り、その差が縮まることはありません。
接客・サービスの類であれば、いずれ同水準まで追いつくことは可能かもしれませんが、営業戦略は、真似ようとしても外からは見えない範囲が広いため、本当に重要なコツがつかめない場合がほとんどです。
やがて、「これは素晴らしい、すぐにでも真似たい。これなら競合に楽に勝てる!」と思えるような画期的なことをやっている会社を探すようになります。
まぁ、そんな会社は滅多にありませんが、仮にあったとしても、野球に例えれば、プロ野球の優勝チームがやっているプレイのようなものです。簡単に見えたとしても、真似しようにも、そもそも素質がないと出来ません。
創業20年~30年以上の会社であれば、現場の営業マンは決して未経験者ではありませんし、もし、御社が営業地域や認知度でトップ3を維持していれば、いわば甲子園に出場できるか、その可能性があるチームともいえるでしょう。しかし、営業利益率が常に同業者の2倍以上あり、かつ経営者から見て営業現場が満足いく動きをしていないならば、プロ野球の水準ではないのも、また事実です。
今年の夏の甲子園では、花咲徳栄高校が埼玉県に初の優勝旗を持ち帰りました。
しかし、花咲徳栄高校は、何も日本最強の野球チームになろうとした訳ではありません。甲子園で優勝するには投手力だけでは不十分なことを監督が理解した段階から、自分達に足りない打力を徹底的に鍛え、地区予選はおろか甲子園の試合でさえ目標を掲げて取り組むことで、打力を武器に甲子園で優勝できるチームへと段階的に変貌していったのです。
甲子園で優勝するというのは結果です。会社におきかえれば売上アップでしょう。そして、どんな対戦相手でも伍して戦える戦略や打ち勝つ武器を持つということは、経営におきかえれば施策です。
同業者と同じ施策で戦おうにも、すでに対戦相手の方が、人員・力量・経験において勝っている施策で戦うならば、決して勝てません。自社に合う内容で他社に勝る部分を作り上げる必要があるのです。
また、戦う場所の設定や特徴を(≒御社にとっての甲子園)がどういうものかを明確に理解できていなければ、間違った戦略やオーバースペックの施策に一生懸命取り組むことにもなりかねません。
営業強化に取り組み始めた段階や自社に不足している点を見出すまではともかく、いつまでも、外にだけ目を向けて、一事が万事、同業者を真似るだけでは、その施策が定着しなかったり、他社と差別化できる営業が強い会社になりえないのはそのためです。
会社を差別化し、独自の売りを見出すには、外に目を向けることは新たな視点や対戦相手に打ち勝つ方向性を見出すためには不可欠ですが、それと同等以上に、今一度社内に眼を向け・自社を徹底的に省みることも、独自の強みや営業強化のやり方を作り上げる段階では重要です。「無い袖は、結局は振れない」のです。
さて、御社では、自社独自の施策を作り上げるのではなく、日本一のプロ野球
チームになれる施策やハリーポッターの魔法の杖が、どこかにあるのではと、いつまでも探し続けていませんか?
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